2010年02月02日

精神科慢性期治療への評価引き上げを―日精協(医療介護CBニュース)

 厚生労働省が1月15日から22日まで実施した「2010年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」への意見募集に対し、日本精神科病院協会(日精協)は、入院基本料の増額と共に、精神科の慢性期治療を提供する病院が算定する「精神療養病棟入院料」や「認知症病棟入院料」の評価の引き上げなどを要望した。

 精神科に対する診療報酬では、「精神科急性期治療病棟入院料」や「精神科救急入院料」が08年度に増額されるなど、救急医療への評価が手厚くされているが、日精協は「(精神科では)急性期における治療と慢性期における双方の医療提供が必要」と指摘。慢性期治療への診療報酬上の評価引き上げを主張した。

 一方、精神科の慢性期入院医療に対して「現時点の骨子」では、「状態像によらず一律の評価となっていることを見直し、重症度に応じた加算を新設する」としているが、日精協では「十分な病態像の調査も行われていない現在、これに着手するには準備不足と言わざるを得ない」「全く理解できない」などと抗議した。

 このほか、アルコール依存症の治療に関しては、専門的な治療プログラムが必要な入院患者の数に応じて入院基本料に加算する仕組みの導入を主張。また、うつ病に対する「認知行動療法」については、他の精神科専門療法と同じ日に実施しても算定を認めるよう求めた。

■2次救急への評価充実など要望―医法協

 一方、日本医療法人協会(医法協)は、2次救急医療機関が算定する「救急医療管理加算」と「乳幼児救急医療管理加算」について、評価を引き上げるとともに、「意識障害または昏睡」などの場合に限って算定を認める現在の仕組みを見直し、無条件で算定できるよう要望した。
 医法協はまた、「現時点の骨子」が看護師不足問題を「著しく軽視している」と指摘。一般病棟入院基本料7対1と10対1に対してのみ、看護職員の月平均夜勤時間を72時間以内にする要件を満たせない場合の評価を新設するのではなく、この要件そのものの緩和を求めた。

 また全国保険医団体連合会は、高齢者の長期入院で報酬が減額になる現在の「後期高齢者特定入院基本料」に対して、「老人の追い出しにつながっている」と指摘。「現時点の骨子」に盛り込まれた減額措置の全年齢層への拡大をやめ、同入院基本料そのものを廃止すべきだと主張した。このほか、病院勤務医の負担軽減につなげるため、現在は特定機能病院を除く急性期病院だけに認められている「医師事務作業補助体制加算」の算定をすべての救急医療機関に拡大するよう求めた。


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後期高齢者医療制度を考える 「遺族年金非課税」の影響は?(産経新聞)

 ■収入350万円で保険料3700円

 見直しが検討されている後期高齢者医療制度。課題は、膨らむ医療費を誰がどう負担するかだ。税で負担するか、保険料で負担するか、窓口負担で払うか。選択肢は多くない。保険料で賄うのが基本だが、負担増に理解が得にくいのも事実。現役世代と高齢世代の費用負担は公平なのか、個々の収入と保険料はバランスが取れているのか−。他人の負担を知る機会は少ないが、制度を考える一歩かもしれない。今回は遺族年金受給者のケースを考える。(佐藤好美)

  [表で見比べる]サラリーマン二重苦 給料上がらないのに保険料引き上げ

 東京都内に住む鈴木美穂子さん(60)=仮名=は昨年、父親を亡くした。その際、80代の母親の代わりに年金手続きなどをして驚いた。母親には遺族年金と、父親が戦地に赴いたことがあるため恩給の遺族給付に当たる「普通扶助料」が出たが、それらはすべて非課税だと知ったのだ。

 「税金の納付について聞いたら、年金の窓口でも、恩給の窓口でも『かかりませんよ。金額にかかわらず、払わないでいいんです』と言われたんです」

 父親の死亡で母親が受け取ることになった遺族年金は約240万円。恩給の遺族給付に当たる「普通扶助料」は約70万円。ほかに、母親には自身の国民年金約40万円がある。計350万円だが、遺族年金と恩給の普通扶助料の計310万円は「非課税」なので課税対象外。40万円の国民年金は課税対象だが、公的年金等控除120万円の範囲内なので、所得税も住民税もかからずに済む。

 母親には恩恵だが、鈴木さんは釈然としない。「日本の財政が潤沢なら、それもいいかもしれません。ですが、若い人がわずかな給料で働いて税金や社会保険料も払い、月に数万円で暮らす人もいることが報道されるにつけ、月に30万円近い収入にまったく課税されないなんて、ずいぶん差があると驚きました。収入がある人は税や社会保険料を負担しなければならない時代なんじゃないでしょうか」

 収入が非課税の場合、税だけでなく、健康保険や介護保険の保険料も軽く済む。鈴木さんの母親は後期高齢者医療制度の対象だが、保険料は年に3700円だ。

 では、仮に鈴木さんの母親と同じ額を厚生年金や国民年金などの公的年金で受けたらどうなるか−。

 東京都に住む同じ年齢のモデルで試算すると、所得税は約9万円。住民税は約19万円。後期高齢者医療制度の保険料は年に約16万円で、負担は合計で年に44万円に上る。

 ただ、受給者自身も負担が軽いと知らずにいるケースもある。母親の税負担がないことに驚いた鈴木さんも保険料にまでは気が回らなかった。

 しかし、こう話す。

 「母も非課税であることを『なんだか変ね』と言っています。払う仕組みであれば当然のこととして払う人だと思います」

 ■社保料の計算は税と切り離しを/65歳以上の遺族年金は課税対象に

 非課税の年金には遺族年金のほか、障害年金もある。厚生労働省年金局年金課は非課税の理由について、「いずれも、死亡や障害といった、いつ起きるか分からない事故で稼得能力を喪失したことに対する補償。公租公課(税など)を課せば効果が減じる」とする。

 一方で、老いを理由に支給される老齢厚生年金や老齢基礎年金が課税対象の理由について、「(老いは)起きることが分かっているうえ、これらは高額になる場合もある。能力に応じて負担する税の原則から、一律非課税にすればかえって不公平になる」と説明する。

 これに対して、神奈川県立保健福祉大学の山崎泰彦教授は障害年金や若年の遺族年金のような予期せぬ事情で受ける年金と、65歳以上の人が受ける遺族年金は分けて考えるべきだと指摘する。「ほとんどの遺族年金は夫の老齢厚生年金が変化したもので、性格は老齢厚生年金に近い。障害年金や若年の遺族年金が非課税なのは別としても、65歳以上の遺族年金は、ほかの老齢年金と同様に課税対象にすべきだ」

                 ◇

 遺族年金についての投書を昨年末、この欄に掲載したところ、多くの反響があった。「遺族年金が非課税なのは公平性に欠ける」という意見が多かったが、「少ない遺族年金を標的にしないで」という意見もあった。

 ただ、この意見にはやや誤解がある。仮に65歳以上の遺族年金が課税対象になったとしても、「少ない遺族年金」には課税されない。65歳以上の公的年金等控除は120万円と高めに設定されている。基礎控除(住民税で33万円)もあるから、年金は最低153万円までは課税されない。総務省によると、実際に65歳以上で住民税を納めている人は4分の1に過ぎない。

 税をベースに計算される社会保障関連の費用は多い。介護保険料や長期入院時の食住費、特別養護老人ホームの利用料もそうだ。しかし、そもそも社会保険料を、税を元に計算すべきでないという意見もある。

 香川大学の小松秀和准教授はこう話す。「税をベースにすることで税の配慮が社会保険料にも反映する。しかし、高齢者や遺族への税の配慮を社会保険料でもすることに合理的な説明はできない。税制改正のたびに社会保険料が連動して上下するのも問題がある。保険料は中立的な『収入』に比例させるべきで、社会的な合意もなく、年齢や属性で配慮の対象を決めるのはおかしい」

【用語解説】遺族年金

 遺族基礎年金、遺族厚生年金などがある。国民年金、厚生年金の被保険者だった人、老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給していた人が死亡した場合、一定の条件を満たした遺族に支給される。

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